2009年4月25日土曜日

クラシックギターの弦の研究

クラシックギターほど弾く人や弾き方によって音色が変わる楽器は少ないと私は思います。

私なりに考えると、クラシックギターの音色は次の要素によって決まると思われます。
(1)ギターそのもの(つまり、ハード)。
(2)張っている弦。
(3)弾く人の指の爪(その質、形、強度)。
(4)弾き方、つまり、左手の弦の押さえ方(バイブレーション、スラーなどの弾き方を含め)及び右手の指のタッチ(アルアイレ、アポヤンドなどの弾き方を含め)

これらの中で、一番簡単に変えられるものが(2)張っている弦です。他の要素は、その程度はありますが、変えるのは簡単ではありません。

月刊誌「現代ギター 09年4月号」には『特集 ナイロン弦大研究』が掲載されています(最初の2頁を下に添付)。なかなか興味深く、おもしろい内容です。

この特集記事によると、初めてギター用のナイロン弦が作られたのは50数年前、1950年代前半と言われています。それ以前はギターにもヴァイオリンと同様にガット弦が使用されていました。ガット弦は羊腸で作られていましたが、傷みが早く、寿命が短く、また高価で、ギタリストは苦労していたそうです。不世出の天才ギタリストで、誰も真似のできない美しい音色で演奏したアンドレス・セゴビア(1893~1987)も最初はガット弦を使っていました。

ギター製作家だったアルバート・オーガスチンがセゴビアの助言のもとでナイロン・ギター弦を研究し、完成したのが1954年(昭和29年)でした。

image from www.flickr.com


私が学生の頃、約40年前に日本で売られていたナイロン弦はオーガスチン、ラベラ、サバレス程度でした。当時サバレスは大きく響きましたが、耐久性が良くありませんでした。そこで、私はその頃は1、2、3弦にはオーガスチン、4、5、6弦にはラベラを使っていました。

私が約25年間のブランクの後、数年前にクラシックギターの練習を再開してみると、世の中には沢山の種類のナイロン弦が出回っていました。練習再開後、現在出回っているいろいろな弦を張って、試してみました。その結果、私は現在は1~3弦にはオーガスチンのリーガル(紫)を、4~6弦にはオーガスチンの青ラベルを使っています。数十種類のナイロン弦が売られているようですので、私も全ての弦を試すことはできません。主なものではプロアルテはまだ試していません。また、最近はカーボン弦なるものも売られているそうです。しかし、Enriqueさんのブログ「クラシカル・ギターを止められない」の09年4月15日の記事「カーボン弦の正体など」によると、これはゴルフ・クラブなどに使われるカーボンとは違うもので、誤解を招くネーミングだとのことです。

また、『特集 ナイロン弦大研究』には、使用弦などについて村治佳織、福田進一、大萩康司などの人気ギタリストを含む14名のプロギタリストにアンケートを取った結果が掲載されています。それを見ると、使用している弦は殆ど全員がバラバラであることが面白いです。これはその人の使っているギターとの相性、弾き方や指のタッチ、音の好みなどによっていろいろ変わってくるものだと思います。因みに、村治奏一さんは私と同じオーガスチンの紫と青の組み合わせを使っていました。

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      P.3以下は雑誌「現代ギター 09年4月号」そのものをお読みください。

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