2011年2月17日木曜日

『音楽はなぜ心に響くの?』 日経新聞記事



2月13日(日)の日本経済新聞に『音楽はなぜ心に響くの?』 という記事が載っていました。(下に全文を転載します。)


どうして音楽が人の感情に訴えかけるかを、最先端の科学技術が解き明かし始めていると言うのです。記事の中で次のように述べられています。


・・・・・ 福井一・奈良教育大学教授は「音楽に反応する回路が、恐れや喜びに反応する回路と同じであることは重要な発見だ」と解説する。
人間にとって音楽を聴くことは、食べたり眠ったり子孫を残したりする本能的な行動に近いことを示すという。 ・・・・・


これは私がクラシックギターを弾いている時に直感的に感じていたことを具体的に説明してくれています。


私は30代からほぼ25年間ギターから全く離れていて、60歳近くなってギターの練習を再開しました。再びクラシックギターに戻り、弾き始めた時、ギターを弾くことは自分にとっては生きることそのものだという気持ちになりました。毎日でもギターを弾いていたいと思ったものです。それは、ここに言う本能的な行動、根源的なものに感じられます。


これは私にとっては興味深い記事ですが、科学技術の一層の進歩、研究の進展によって更に具体的なことが解明されてくるでしょうし、楽しみでもあります。

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【日本経済新聞  2011年(平成23年)2月13日(日曜日)】


 <ナゾ  かがく> 
『音楽はなぜ心に響くの?』 ~ 感情操る部分に信号届く


空気の振動で伝わる何気ない音は、ひとたび旋律を作り和音を重ねると人の感情に訴えかける音楽に様変わりする。コンサートを聴いて感動し、一緒に歌って元気を出す。どうしてそんなことが起きるのか、最先端の科学技術が謎を解き始めている。


音楽が感情に及ぼす影響を調べる研究は、1980年代後半から活発になった。いまでは「聴覚野」と呼ぶ脳の横側の表層部分で音を感じ取り、脳の奥深いところにある「扁桃(へんとう)体」という場所にまで信号が行き届くことがほぼ突き止められた。


扁桃体は、様々な生化学物質(ホルモン)を作り出し、喜怒哀楽の感情を調整する中枢部分と考えられている。音楽の生理作用に詳しい福井一・奈良教育大学教授は「音楽に反応する回路が、恐れや喜びに反応する回路と同じであることは重要な発見だ」と解説する。


人間にとって音楽を聴くことは、食べたり眠ったり子孫を残したりする本能的な行動に近いことを示すという。絵画や文学など他の芸術によっても感動し元気づけられることはあるが、その力は音楽の方がより強いと考えられる要因だ。


それを証明する実験も増えている。福井教授らは、音楽を聴いた人たちのホルモンの変化量を調べてきた。残酷な映像を見た後、気持ちを和らげる曲を聴いてストレス時に多く出るホルモン「コルチゾール」を測る実験では、コルチゾールの低下が確認できた。


ポピュラーやクラシックなど様々な音楽を聴いた男女の間で、男性ホルモン「テストステロン」に変化があるかどうかを調べた別の実験では、男性は音楽を聴くとテストステロンの値が下がり、女性の場合は上がる傾向が判明した。どのように解釈すればよいのか、まだ確定していないが「音楽を聴いた影響に男女差がある結果だ」(福井教授)。


音楽が脳にどのような変化をもたらしているのか数多くの証拠を積み重ねていけば、なぜそれが起きるのかを解明できるのだろうか。多くの研究者は仮説と実験を繰り返しながら脳の仕組みを調べていくしかないと考えている。


一方で、岐阜県などの自治体や介護サービス業者などが音楽の効果を福祉や介護などに生かす動きが広がってきた。研究と応用の現場が協力を深めることも大切になっている。


(編集委員 永田好生)

image from www.flickr.com 

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