2017年8月29日火曜日

小説『マチネの終わりに』


作家・平野啓一郎の小説『マチネの終わりに』を読み終えました。

4月にオーストラリアに旅行に出掛ける際に、往復の飛行機の中の時間つぶしに何か本を持って行こうと考え、話題になっていて、主人公がクラシックギタリストだという点に興味を持ち、『マチネの終わりに』のkindle本(電子書籍)をAmazonで購入して、ダウンロードしました。

<小説『マチネの終わりに』表紙~ iPad mini で>

結局、『マチネの終わりに』は帰りの飛行機の中で、iPad mini で初めの部分を少し読んだだけでした。帰国後はバタバタしていて、そのままになっていましたが、最近になって時間ができて読み始めたら、面白くなって、一気に読み通しました。

      <小説『マチネの終わりに』目次~ iPad mini で>

私は若い頃から小説はあまり読む方ではなく、最近はますます読まなくなっています。私はどちらかと言えば「非文学的人間」なのでしょう。その私が一気に読み進んでしまったのですから、この小説はよほどストーリー展開がうまく、惹き付ける力があったのだと思われます。

場面が東京、パリ、ニューヨークのマンハッタン、バクダッドなど、世界各地を移り進んで行く点も私の興味を惹き付けました。ニューヨーク・マンハッタンには20年以上前ですが勤務していたことがあり、パリには個人旅行ではありますが1週間ほど滞在したことがあるので、リアリティーを持って読むことができました(さすがにバクダッドには行ったことはありません)。

また、主人公の蒔野聡史が天才的なクラシックギタリストであって、ギター演奏に関わる話やクラシックギターの名曲の話題がたくさん出てきますので、クラシックギター愛好者にとってはこれは堪えられない魅力です。

<ギタリスト・福田進一氏/宿泊コンサートにて 2015年10月10日>

作者・平野啓一郎氏はこの小説の構想の段階から、日本を代表する世界的ギタリスト、福田進一氏に相談し、話を聞いていたそうです。小説の主人公のギタリスト蒔野聡史がパリ国際ギターコンクールで優勝している人物だと冒頭で書かれている点から、同じくパリ国際で優勝している福田氏を、読みながら私は連想してしまいました。

私は縁あって、10年近く前から毎年一度、信州女神湖近くの某山荘で行われる、半ばプライベートな福田進一氏の宿泊コンサートに参加しています。ここでは福田氏のギター・コンサートの後、せいぜい30人ほどの聴衆参加者は夕食懇親会を行い、夜遅くまで福田氏を含めてお酒を飲んで懇談します。

image from www.flickr.com   <福田進一氏を囲んで/宿泊コンサート後の夕食懇親会 2010年6月5日>

そんなこともあって、この小説を読みながら、私は主人公・蒔野聡史にダブらせて、福田氏だったらこの場合はどうなんだろうか、などと想像したりしました。しかし、主人公・蒔野聡史と福田氏は実際かなり違っていますし、作者・平野啓一郎も福田氏も対談の中などで述べているように、蒔野聡史に特定のギタリストのモデルがあるわけではなく、フィクションの人物ということです。

<CD『マチネの終わりに』~ 福田進一演奏>

この小説の出版後、小説とのタイアップCD『マチネの終わりに』がリリースされました。小説に登場するギター曲の中から福田進一氏と平野啓一郎氏が選曲し、福田氏による演奏を集めたものです。
小説の読了後、早速CDを購入して聴きましたが、聴きながら小説の場面が蘇り、小説に音による彩が添えられて、もう一度楽しめる感じがしました。小説とクラシックギターCDのおもしろいコラボレーションだと思います。

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